ほどよい愛
「寂しいんだろ?」

「え!違う。…違う。透が自分で決めた道を迷わず進んでいくのは嬉しいし、安心してるけど…」

「けど?」

「…自信を持って生きてる透が羨ましいだけ」

少し早口で言う私を優しく胸に抱き寄せてくれた恭汰。

「…双子なのにどうしてこんなに性格が違うんだろ。…って落ちてるだけ」

恭汰の胸にぼそぼそと言う自分が少し信じられない。

今まで、嫌われたり重く感じられるのが不安で、愚痴っぽい事は言えなかったから。

…反応を見るのが怖くて、思わず恭汰の背中にぎゅっと手を回した。
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