ほどよい愛
「…笑ってるのか?」

「え?」

顔を上げると、恭汰が私を見つめていた。

「…おはようございます。いつ起きたの…?」

「ちょっと前。前みたいに葵が勝手に帰らないように起きてたんだ」

半分本気…?
な表情でつぶやく恭汰に

「…帰る理由、つぶしてくれるんでしょ?」

「あぁ。他にあるのか?」

私の髪を優しく梳きながら言う恭汰は、軽く笑っていて。

私も笑ってしまう。

「…理由…思いついたら言う」

「…わかった。何を思いついてもつぶす」

ふふ。
こうして笑いあえる時間が私に訪れてるのは…夢じゃない。

夢でも、流されたのでもなく私が選んだ時間。
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