ほどよい愛
自分の作った壁の向こうに閉じこもって、目の前にいてくれる恭汰の優しさや愛情から離れるなんて論外。

そう思える自分自身が、誇らしい。

「なぁ、仁科圭、明日香夫妻って葵の両親なのか」

「うん…そうだけど?父さん母さんの事知ってるの?」

驚いている恭汰の様子は今まで見た事のない表情で、私も驚いてしまう。

「あぁ、知ってる。建築やってる人間なら大抵知ってるさ」

「へえ…。有名なんだね。大賞取った事あるからそこそこ頑張ってたんだとは思ってたんだけど」


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