ほどよい愛

その記事には、葵の両親と並んでいる制服姿の、15歳の俺の緊張した姿。

「なんで恭汰が一緒に写ってるの？」

まぁ、びっくりするだろうな。
俺だって、こんな偶然があるなんて、驚き以前にありえないだろうって思う。

けれど、この偶然は、葵の両親が俺達のために仕組んでくれた奇跡かもしれないとも思う。

葵も同じように感じて欲しい…。

「ゆっくり話してやりたいけど、そろそろ会社に行かなきゃな。車で話すよ」

時計を見て、その通りだと納得しながらもまだ聞きたい事はあるはずで、揺れる瞳の葵。