ほどよい愛
「ああ。なかなか解放されないな」

「できる男は大変ですよね~」

あっけらかんとした聡の言葉に、少し気持ちも浮上する。

「あ、課長ここの4階の店です」

先にビルに入っていく聡の背中に向かって、

「花田、俺途中で抜けるわ。後は3次会でも4次会でも好きなだけやってくれ」

「え!?」

一瞬訳がわからない顔で振り向いた聡。が、その後すぐには、俺は全てわかってますよと瞳で語りながら笑っていた。

「週末会えないなら、今日会っておかなきゃ寂しいですからね。葵さん」

「……」

「そんな怖い顔してると逃げられますよ~」

「逃がすかよ」

しばらく肩で笑ってる聡の頭を軽く叩く俺も笑っていた。

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