ほどよい愛
複雑な夜

家に帰ってすぐにお風呂に入る。
しばらく仕事が忙しかったせいかお風呂で体をほぐしたりうとうとする幸せから遠ざかっていた事に気付く。
コンペに勝ったせいで、まだまだ仕事に追われると考えるとうんざりするけど、とりあえず今日の宴会のみんなの笑顔を思い出すと、気持ちもゆるむ。

長風呂という贅沢を満喫して部屋に戻ると午前一時。
明日が金曜日で、出勤なのが残念。今晩はもう寝ようかな。

テーブルに置いてある携帯を開く。メールは届いていない。

……。

まだ二次会続いてるのかな?
時間的には三次会に移ってるのかもしれない。
恭汰との事は秘密にしてるから、宴会でもほとんど話せなかった。部員みんなからお酒を注がれ、それぞれに仕事への労をねぎらう言葉をかけていた。
私も行きたかったけれど、躊躇してしまった。どんな距離感で話せばいいのかがわからなくて。恭汰への気持ちを持て余している状態の私の瞳の奥をよみとられそうだし……。
< 19 / 302 >

この作品をシェア

pagetop