ほどよい愛
そう好きな人から言われても尚断るなんてできない。
自分の中に残る違和感を消す事ができなくて不安はあるけれど

「恭汰の部屋?それとも私の部屋で暮らす?」

私の言葉が恭汰の緊張を解いたようで、軽く息を吐くとぎゅっと抱き締められる。

「部屋はどこでも。ただ葵がいればいいんだ」

「……」

そんな言葉。
嬉しくないわけもなくて、照れないわけもなくて。

……でも、私はどうしてまだ揺れているんだろう。
大好きな人と一緒に暮らせるのに。
幸せだけを感じるはずなのに。

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