ほどよい愛
「この週末にでも荷物運ぶか?」

ぼんやりしている私の瞳をのぞきこむ恭汰。

「え…?あぁ…」

その瞬間、恭汰に言わなきゃいけない事を思い出した。

「ごめん…。週末から来週の透の受賞式まで市橋のおじさんおばさんちに行く事になって…」

恭汰の反応がどうか不安で、ゆっくりと顔を上げると、怪訝そうに私を見つめている視線。

「市橋って…」

「両親が亡くなった後大学に入学するまで一緒に暮らしてくれたの。透が日本にいる間久しぶりに帰って来いって…」

「…ずっと?」

「うん…。おじさんとおばさんが透の受賞をかなり喜んでて…。おまけに透が…」

「ん?」

「あ、ううん。なんでも…。とにかく帰って来いってうるさいから透と帰る事にしたの」

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