ほどよい愛
葵を腕に抱いて朝を迎える事が、自然に思えるようになってからずっと、違うベッドで夜を過ごす寂しさを抱えてきた。
いつでもその姿を確認できる所に葵をおいて、できるならば閉じ込めてしまいたい…。
初めて葵を抱いた日に既に俺の気持ち全てが葵に占領されてしまった。
葵が用心深く守っていた人との付き合い方へのガードを知ってからは、自分の気持ちを押さえてきたけれど。
葵の気持ちが俺と同じだ…と感じてからは自分の気持ちを出す事に抵抗がなくなっている。
合鍵を差し出すだけでも葵にとってはかなりの勇気が必要だったはずだけど…。
それすら俺には不十分になっている。
一緒に暮らす。
葵の顔には驚きと嬉しさが交互に現れていた。
けれど、それ以外の感情…まるで諦めにも似た…が現れて。
それが気がかりと言えばそう。
けれど。
葵がどう感じていても、もうお前を手放すつもりはないんだ…。
腕の中で眠る葵をそっと抱き寄せて、俺も目を閉じた。