ほどよい愛
しばらく何も言えずに二人を見つめている私に。

「はい」

と詩織さんがコーヒーをテーブルに置いてくれた。

「本当。妹離れできてないわね」

詩織さんはやれやれと溜息をつき、笑っていた。

「イタリアに行く時も、葵を一人にして行けないってギリギリまで悩んでたしね」

「…うそ…。相談もなく勝手に行ったって思ってた」

「相談しなかったんじゃなくてできなかったのよ。葵は透以外は距離をおいて付き合ってたから。言うと寂しがるのわかってて言えないって」

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