ほどよい愛
ちいちゃんが透にコーヒーを渡しながらこっそりと私に肩をすくめてみせる。

「千尋ちゃんがね、いつかは葵ちゃんをかっさらっていく男が現れるんだから、覚悟決めてイタリアに行きなさいって一喝してくれたのよ」

詩織さんからの驚きの告白は淡々と続く。

私は頭を整理しながらコーヒーを飲んでいた。
自由気ままに好きに人生を生きてるだけの兄貴だと思ってた。
両親を亡くしてからも生活スタイルを変えずにいた透は、イタリアに行ってしまった事もあって少し遠く感じていた。

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