ほどよい愛
昔から、眠れないといつもここに来てた。
一階の奥にあるアトリエ。
絵や図面を書いたり模型を作ったり。
乱雑に並んでいる材料や、壁一面の本棚に押し込まれている本を見ていると落ち着いてきて、創作意欲も沸いてくる。
大学時代、課題作品の製作はいつもこの部屋でしていて、当時の失敗作がまだいくつも残っている。
「はぁ…」
窓から見上げると、綺麗な三日月。
今恭汰も見上げてるのかな。
会いたいな…。
電話くれないかな…。
傍らの携帯は沈黙したまま。
もう午前三時。
かかってくるわけないよね。