ほどよい愛
「あ、これ秘書課に隠しておいてね」

杏奈に模型を慎重に手渡す。
必死に作り上げた物だけに、手元を離れて少し寂しくなる。

「…ねぇ、秘書課でこっそりと見てもいい?」

「…いいよ。私の気持ちをぎゅっと詰めた力作じっくりと見て」

この力作にこめた私の思いを、恭汰は受け入れてくれるかな…。

今まで当たり前のように抱えてきた不安だらけの弱気な自分を必死で追い払って。

『大丈夫。諦めないし』

心で何度もそう唱えた。

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