ほどよい愛
お互いの体を離す事ができずに、私は恭汰の膝に腰掛けて、胸に顔を埋めていた。
トクトクと聞こえる心臓の音に安心感を覚えて、手はそっと恭汰の背中に回していた。
「…模型、見てくれた?」
顔を恭汰の胸に埋めたまま聞いてみる。
「見た。久しぶりにしてはなかなかだな」
「…なかなか。で…」
顔を上げて恭汰の表情を見ても、普段と変わらずじっと私を見ている。
「あの…模型なんだけど…」
「ん?」
「その…私…恭汰に言いたい事があって…」
模型の表札にこめた気持ちに恭汰は気付いてないみたい…。
小道具としては完璧だと思っていたけれど…。