ほどよい愛
表札にこめた将来への夢に気付いて欲しいなんて、安易過ぎたのかもしれない。
今までなかなか本心を言えずにいた私のメッセージをくみ取って欲しいなんて、虫が良過ぎるって事?

言葉にしてこそ伝わる想いなのかな…。

「恭汰…。私、一緒に暮らすだけじゃ嫌なの」

「……」

「こうして恭汰の温かさとか気持ちを側で感じながら過ごす毎日は、すごく幸せな事だけど…」

所々つまりながらだけど、ちゃんと恭汰の目を見ながら伝える言葉を、静かに聞いてくれている恭汰。
その瞳からは何も読み取れない。
じっと私を見つめて、私が話す言葉を受け止めてくれている。

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