ほどよい愛
「これを受け取ったら、二度と葵を離さないし、不安で逃げようとする事も許さない」

急に真面目な声色で言い聞かせる恭汰は私の左手を掴むと、指輪を薬指にはめようとした。

けど、直前で止めると

「…いいな?俺だけのもんになっても」

相変わらず声も出せない私は何回も頷いた。

そして…。

涙でよく見えない指に、恭汰からの約束がそっとはめられた。

その指輪をじっと見る間もなく、恭汰の胸に抱き寄せられ、気付けば体中を愛してくれる恭汰に応えていた。

…約束という幸せをくれた恭汰が愛しくて、その夜は今までで一番近くに恭汰を感じた。

愛されている実感を体と心両方に感じながら、何度も恭汰と重なって一晩中抱かれた…。

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