ほどよい愛
その日は、全く仕事にならなかった。

恭汰からもらった婚約指輪を外さずに出勤したせいで、一気に婚約した事が社内にひろがった。

「仕事は続けるのか?」

昼休みに、杏奈と食堂で食事をしていると、声をかけられた。

顔を上げると、同期の柳くん。
隣りの設計部にいるなかなか仕事のできる男前。

「来月からの新しいプロジェクト、一緒に仕事できるって聞いてたんだけど」

柳くんは、持っていたトレイを私の隣りに置き、席につくと真面目な顔で尋ねてきた。

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