ほどよい愛
「ねぇ、ずばり聞くけど。織田さんと柳くんって…」

杏奈の言葉にかぶせるように、柳くんは

「付き合ってるよ」

と、なんでもないようにさらっと答えた。

「どうせ、身の程知らずとか言うんだろ?社内でも有名な課長と6歳も年下の平社員が付き合うなんてさ」

「…そうは言ってないじゃない。拗ねないでよ」

杏奈は相変わらず淡々と続ける。

「拗ねてないよ。ただ自分をわかってるだけ」

言い方は拗ねてるけど、表情は柔らかくて、後ろ姿しか見えない織田さんを愛しそうに見つめている柳くんは、心底彼女を大切に思ってるのが良くわかる。

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