ほどよい愛
残された私達の間には微妙な空気が流れて。
ようやく口を開いたのは柳くんで。

「杏奈に見られたんだよ」

「……?」

「指輪選んでるとこ」

「え!」

顔を赤くして照れてる柳くんの向こうに見える織田さんの背中。

二つを交互に見ながら、ただただ驚いていた。

「結婚するの…?」

「したいんだけどな。薫がまだやりたい事があるって、待ち状態」

「…そっか」

落ち込む柳くんは、苦笑しながらも、

「ま、仁科は良かったな」

と優しく言ってくれた。
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