ほどよい愛
③
「今晩から札幌に出張だ。週末はまるまる向こうだから会えないな」
出張…。
週末会えないから、夕べ来たのね。
「札幌って、ホテルの内装デザインでしたっけ?」
「そう。コンペにかかりきりで、納期ギリギリだ。」
テーブルに向かい合って朝食を取りながら、恭汰は苦笑い。
「納期って?いつですか」
「ん。あさっての日曜」
「え!全然時間がないじゃないですか!間に合うんですか?」
持っていたコーヒーカップをテーブルに置いて、思わず語尾も荒くなる。
「なにがあっても間に合わせるさ。どうしても、な」
安心させるように笑う恭汰に、私も少し笑った。
けれど、その少しの笑いでさえ、冷たく固まった言葉が恭汰の口からささやかれた。
「内装設計の今村も一緒だから、あいつがなんとかするだろ」
つぶやきながら、何かを思い出したように口角をあげる恭汰。
…私の心、固まってしまって、痛い…。
今村結衣。
この5年あまり、恭汰を慰め続けてきた人。
そっか。札幌に一緒に行くんだね。
そして、また慰めるの?
出張…。
週末会えないから、夕べ来たのね。
「札幌って、ホテルの内装デザインでしたっけ?」
「そう。コンペにかかりきりで、納期ギリギリだ。」
テーブルに向かい合って朝食を取りながら、恭汰は苦笑い。
「納期って?いつですか」
「ん。あさっての日曜」
「え!全然時間がないじゃないですか!間に合うんですか?」
持っていたコーヒーカップをテーブルに置いて、思わず語尾も荒くなる。
「なにがあっても間に合わせるさ。どうしても、な」
安心させるように笑う恭汰に、私も少し笑った。
けれど、その少しの笑いでさえ、冷たく固まった言葉が恭汰の口からささやかれた。
「内装設計の今村も一緒だから、あいつがなんとかするだろ」
つぶやきながら、何かを思い出したように口角をあげる恭汰。
…私の心、固まってしまって、痛い…。
今村結衣。
この5年あまり、恭汰を慰め続けてきた人。
そっか。札幌に一緒に行くんだね。
そして、また慰めるの?