ほどよい愛
そっと恭汰を見上げると、笑ってた。

笑ってる…?

「ねぇ、色々詮索されたり写真撮られたりするの嫌じゃないの…?」

「基本は嫌だな」

「……」

「だけど」

会場の片隅で、そっと私の耳元にささやくように

「こうやって、葵は俺のもんだって黙ってても知らせてくれるなら…それも悪くない」

「…」

甘く囁かれる言葉は私の気持ちに確実に染み込んでいく。
『だろ?』
とでも言いたげな瞳の温かさと、腰に回された恭汰の手のぬくもりが、更に私の気持ちをあなたに夢中にさせる。

それは、想像もできなかった幸せな感情…。

そして、もう逃げようとしなくていい、私だけの未来…。


< 284 / 302 >

この作品をシェア

pagetop