ほどよい愛
「覚えてたんだ…」

私が小さい頃にぽつぽつ話していた夢を。

こんな家で大切な家族と住みたいって軽く話しただけで。

最近恭汰にプロポーズする為の小道具として模型を作るまで、忘れていた夢なのに…。

じっとガラスケース越しに見ながら泣いている私の肩を抱き寄せて、恭汰は

「こんな家に、一緒に暮らそうな」

と囁いてくれた。

私の涙腺は緩んだまま、ただ何度も頷いた。

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