ほどよい愛
「来年の春には会えるよ」

そうつぶやいた私をそっと抱き寄せて、まだ震えてる手を隠そうともせず。

そして、流れる涙を隠そうともせずに、恭汰はただ

「…ありがとう」

と言って笑った。

その顔は、どんなにか欲しかった恭汰そのものの気持ちが表れていて、心の中の本当の部分を見た気がした。

「家族だね…。一人じゃないね」

恭汰の頬の涙を手の平で拭いながら、どんどん幸せが溢れてくる。
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