ほどよい愛
それから、不機嫌な声で

「そろそろ始めるぞ」
という恭汰の合図で、打ち合わせは始まった。

午前中だけでは終わらず、結局昼からも続行する事となり、今は昼食休憩中。

の筈なのに、私は昼食を食べる事もできず、資料室で、午後から必要なファイルを集めていた。慎也とランチでも行きたかったな~。
軽く溜息をつくと。

「資料は揃ったのか?」

「あ、恭…いえ、課長。あと一冊で揃います」

「そうか。じゃ、なんか食べに行くか?」

「え?」

棚にもたれながら、なにげにそう言う恭汰。

「一緒に…行ってもいいの?」

「……ああ。時間がないから急ぐけどな」

「はい!行きます」

口角を上げて軽く笑う恭汰に見とれる事も我慢して、急いで残りの資料を探す。
目当ての物が見つかり、背伸びをして取ろうとすると、背後から恭汰の手が延びてきて取ってくれた。

「ありがとうござい…っ!?」

振り返った瞬間、恭汰の唇が私のそれに重なっていた。
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