ほどよい愛
「で、葵はいつ結婚するんだ?」

「は?」

「…だから、相模さんと付き合ってるんだろ?」

「……」

不意の慎也の言葉が私の不安定な気持ちを揺らす。
何も言えずにグラス片手に固まってしまった。

相変わらずにんまり笑ってる慎也の横で、私の表情が変化した事に気付いたらしい実菜さんが、

「社内恋愛の面倒くささは私達が一番わかってるでしょ?
一緒に仕事してる慎也になんてすぐに言える訳ないでしょ?」

ねぇ?

と私に首をかしげる実菜さん。
きっと、すごく気のつく人なんだろうな。

それに比べて久しぶりの男どもは相変わらずの男どもで。

『だって相模さんの葵を見る顔とか俺を睨んでる迫力とか』

って言う慎也に始まり、他の男どもも
『やたら昔より綺麗になってるのは恋人がいるに違いない』
『首筋のキスマークなんて男よけだろ?』

と言いたい放題。
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