ほどよい愛
「でも…。私。その彼女に聞いたし…」

「何を?」

「恭汰が前の彼女と別れてぼろぼろになってた時からずっと側にいてるって」

思い出すのも辛い時間を振り返れば。
今村さんの言葉が再び私を苦しめる。

「それに……」

ためらいと、今まで一人で悩んでいた時間を言ってしまいたい気持ちが交互に顔を出す。

「それに、恭汰に抱かせて欲しいって。別れた彼女を忘れたいから抱かせて欲しいって言われたって」

そう。入社して間もない頃の宴会に今村さんも参加していて、酔っ払った勢いで私に話した事は忘れられない。
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