ほどよい愛
「…今それがどうして出てくるの?」

とりあえず尋ねてみる。

でも。

慎也が言いたい事はわかってしまう。
私の高校時代を全て理解して守ってくれた王子様。

恋愛以外のほとんどの感情を慎也に対して抱いてきたから。

「葵の人生を決めてくれた人だろ?
今こうして側にいられる事なんて奇跡なんだから……」

「もっかい私の人生ぶつけろって?」

「…おっ…おぉ、その通り」

突然言葉を引き取った私にびっくりした慎也。

「慎也の考えてくれる事はすぐにわかるんだ。
……同じように恭汰の気持ちもわかればいいのに」

ははっと笑ってグラスのカクテルを飲み干す。

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