ほどよい愛
「もし、相模さんと出会ってなかったらどうなってたかはわからないよ。でも、相模さんの側にいられない未来はどうなんだ?」

諭すように話す慎也は、高校時代の便りになる兄貴みたいな温かさそのままで。
涙は止まらないけど、できる限りの笑顔を作ってみる。

「恭汰のいない未来は辛いし嫌だけど…私ずっと、別れる日がくる覚悟しながら過ごしてるから」

そう。確実に離れないものなんて、ない。
幸せもいつまでも続かない。
私の両親は突然死んで、私や透の幸せだって途切れてしまった。
< 60 / 302 >

この作品をシェア

pagetop