ほどよい愛
淡々と話す私に少し安心したのか、今村さんは軽く溜息をついて話を続けてくれる。

「じゃあ、相模くんと彼女がそれからすぐに別れた事は…?」

「会社に入ってから、噂で聞きました…」

「…。恭汰は、彼女と結婚を考えてたんだけど…彼女は別の男性と結婚しちゃったの」

最後は、今村さんにとっても腹の立つ事らしく、怒りが滲んでいた。

「私も大学時代から二人見てたけど、まさかあんな形で裏切られるなんて」

「……」

「コンクールで賞を取ったって、所詮サラリーマンだからね。
結局、将来有望な医者と結婚して相模くんの事は、この『未来』と一緒に捨てちゃったのよ」


< 98 / 302 >

この作品をシェア

pagetop