閉鎖病棟の祭り
毛利の隣の病室、患者の持田モチ雄に、ちょっとテンションの変になった松本が矢継ぎ早の質問を投げかけていた。
「最近の毛利さんに、いつもと違った、おかしなところはありませんでしたか?」
「・・・」
「どんなことでもいいんです。ええっと、たとえば、病室から脱走する話をしていたとか」
「・・・」
「あのですね、僕はここの病院の脳科学者をしています・・・」
「松本先生、そこまで役に入らないでください」松本の後ろから成田が突っ込みを入れる。その間も、持田は黙ったまま、壁の一点だけを見つめ続けた。
「よーし、こうなったら最後の手段だ!」
(えっ、始まってそんなたってないのに、もう最後の手段!?)松本の予想以上の引き出しの少なさに、成田は驚愕した。
「あんなこーといいなー、でーきたーらいーいなー」
松本は小さな声で歌い始めた。それは、ドラえもんの主題歌だった。
菱沼も成田も、もう、どう突っ込んだらいいものやらわからなくなっていた。
持田は変わらず、一人きりの世界に意識を漂わせている。
歌が中盤を越えた。
「そーらをじゆうに、とーびたーいなー」
次の瞬間だった。
「はーい、タケコプター!」
持田が、両手を突き上げながら立ち上がり、絶叫した。
「最近の毛利さんに、いつもと違った、おかしなところはありませんでしたか?」
「・・・」
「どんなことでもいいんです。ええっと、たとえば、病室から脱走する話をしていたとか」
「・・・」
「あのですね、僕はここの病院の脳科学者をしています・・・」
「松本先生、そこまで役に入らないでください」松本の後ろから成田が突っ込みを入れる。その間も、持田は黙ったまま、壁の一点だけを見つめ続けた。
「よーし、こうなったら最後の手段だ!」
(えっ、始まってそんなたってないのに、もう最後の手段!?)松本の予想以上の引き出しの少なさに、成田は驚愕した。
「あんなこーといいなー、でーきたーらいーいなー」
松本は小さな声で歌い始めた。それは、ドラえもんの主題歌だった。
菱沼も成田も、もう、どう突っ込んだらいいものやらわからなくなっていた。
持田は変わらず、一人きりの世界に意識を漂わせている。
歌が中盤を越えた。
「そーらをじゆうに、とーびたーいなー」
次の瞬間だった。
「はーい、タケコプター!」
持田が、両手を突き上げながら立ち上がり、絶叫した。