彼女の嘘と俺の嘘


 歩くたびに乾いた落ち葉が砕ける音がして、短い秋という季節を踏み潰しているような気がした。


 おれは散策路の脇に設けられているベンチに腰を下ろして、夜の10時までどうやって時間を潰そうかと悩む。


 悩んだところで出てくる答えは決まっているのに、おれは悩んでしまう。


 人間は本当に面倒な生き物だと痛感する。


 サキはこんなおれの姿を見たらどう思うだろう?


 きっと軽蔑する。


 おれからはため息しか出てこない。

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