彼女の嘘と俺の嘘
ピョンピョン飛び跳ねるリズムで歩くチワワを散歩させている腰の曲がったおばあちゃん、ネギがニョキッとはみ出たエコバックを片手にぶら下げて夕飯のメニューを想像している主婦、ケータイを耳に当てて小走りで駆けていく30代前後のサラリーマン。
前を通り過ぎていく人達にはそれぞれ目的があるように見えた。
平凡な風景を見ているだけなのに、世の中から取り残されているような気がして気持ちが折れそうになる。
おれの心のより所はサキしかいない。
辺りが暗くなり、散策路を通る人がいなくなると、さらに寂しさと情けなさがこみ上げてきた。