彼女の嘘と俺の嘘
一般人に理解しがたい犯罪の中には寂しさや虚しさが感情に火をつけ、自らの存在理由を知らしめるために道を外した行動を起こしてしまった者もいるのではないだろうか。
だからといって犯罪に手を染めた者に同情してはいけない。
危うくおれも道を外れるところだった。
おれはリクライニングシートから体を浮かせてノートをペラペラと捲った。
ネットという特殊な世界ではあるが、おれの存在理由を理解してくれているのは世界中でサキだけだ。
しかし、どんな関係にも必ず 終わりがくる。
そのときを考えると怖かった。