彼女の嘘と俺の嘘
いや、おれはすでにダメ人間なのだ。
寂しがりやのサキの話し相手になってあげて、ボランティアでもしているかのような気持ちになって自分に酔ってはいないだろうか?
サキに依存して頼っているのはおれのほうなのに……。
なんておめでたい奴なんだと思いながらも、チャットルームでサキのアバターを発見すると我を忘れてキーを叩いてしまう。
今日は久し振りにサキとオセロをした。
よほど自信があるのかサキは『手を抜かないでよ』と言ってきた。
しかし、勝ったのはおれ。
盤面は真っ黒。
神様はおれの心がまだ黒いことを見抜いているらしい。