彼女の嘘と俺の嘘


『それじゃシバの顔も……』

 と言ったところでサキは言葉を切った。


 おれの勝手な想像だが、顔が見たいという欲求が頭を掠めたに違いない。


シバ> カッコイイ写メが撮れたら送ってあげるよ

 おれは少しでもサキの気持ちに応えてあげたくて、その場凌ぎの嘘をついた。


『本当?』

 サキは声を弾ませ、明らかに期待しているのがわかる。


シバ> 妄想を膨らませすぎないでね。送らない可能性のほうが高いから


『えぇ~今日のシバはちょっと意地悪』

< 139 / 262 >

この作品をシェア

pagetop