彼女の嘘と俺の嘘
『それじゃシバの顔も……』
と言ったところでサキは言葉を切った。
おれの勝手な想像だが、顔が見たいという欲求が頭を掠めたに違いない。
シバ> カッコイイ写メが撮れたら送ってあげるよ
おれは少しでもサキの気持ちに応えてあげたくて、その場凌ぎの嘘をついた。
『本当?』
サキは声を弾ませ、明らかに期待しているのがわかる。
シバ> 妄想を膨らませすぎないでね。送らない可能性のほうが高いから
『えぇ~今日のシバはちょっと意地悪』