彼女の嘘と俺の嘘


『サキね……シバに2つも嘘をついてるの』


シバ> 嘘?

 突然の告白におれは戸惑う。


『家のお父さんはお医者さんなんだ』

 サキの沈みがちの声に反しておれは“なぁ~んだ。そんなことか”と気持ちが和らぐ。


シバ> やっぱりお金持ちだったんだ


『お金持ちじゃないよ。個人の小さな病院だから』


シバ> 他の家にくらべたら裕福なんじゃない?


『みんなそう言うけど……旅行でホテルに泊まるとき、お父さんは医者という職業を隠してるよ』

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