彼女の嘘と俺の嘘


 だとすると病気のことはやっぱり本当なんだ……。


 おれの心の中にサキが真実を話してくれたうれしさと、白血病という重い病気の現実味が重くのしかかってきた。


 嘘を言う健康なサキ、真実を言う白血病のサキ。


 どっちのサキをおれは望んでいるのだろう?


 所詮、選ぶ権利なんておれにはない。


 それに残ったのは後者のほうなのだから。


 白血病で苦しんでいるサキをもう泣かせるようなことはしないと心に誓う。

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