彼女の嘘と俺の嘘
チャットで恋するなんて生身の人間に声をかけられないオタクな奴らの戯言だと思っていた。
おれは分岐点に立たされている。
ひとつはまともな人間と恋をする道で、もうひとつは仮想空間の中で擬人化したアバターと恋愛への道に迷い込むこと。
サキには惹かれる魅力を感じる。
もうこういう女の子には出会えないんじゃないか?と、後悔という名の銃を突きつけられている気がする。
理解されることのない恋。
サキは無償に寂しがっている。
“サキはいつもこの時間待ってるのに”と彼女は言った。