彼女の嘘と俺の嘘
サキは断られたときのショックを想像して、なかなか言い出せないのかもしれない。
やはり、あの大泣きした事件からサキは我がままを控えめにして、いままでの関係を壊したくないという気持ちが働いているのだろう。
ひょっとすると端から望んでいないということも考えられるが……。
おれはケータイのアドレスを教えるつもりなど毛頭ない。
そんな卑屈なことを考えていたからなのか、午後10時を過ぎてもなかなかサキが現れなかった。
こういう日もあるかと諦めかけたそのとき、やっとサキのアバターが現れて回線を繋げてくれた。