元カレ教師
日の傾きから見て、少し時間は経っているのだろう。
そんな頃に、みやびちゃんは泣くのを止めた。
「ありが、とう。」
声はまだ少し震えている。
「いいよ。
それより、もう大丈夫?」
「うん。」
「…あたし、何か傷つけるような事言っちゃったかな?」
「ううん。
違うよ。
その逆。」
「逆?」
「そう。
嬉しかったの。
ママに似てるって言われて。」
「そんなに似てないって言われるの?」
「うん。
だから、私…ずっと自分が貰われた子じゃないかって思ってた。」
「似てないだけで?」
「うん。
だって私、パパにもママにも本当に似てなくて。
ちょっと言いにくいんだけど、多分妃奈ちゃんとかだったら似てなくても親子って思えるかもしれないけど、私達の場合、実は養子だって事も十分にあり得る話だよ。
実際、お稽古の知り合いにも養子の人いるの。」