元カレ教師


「お姉ちゃん、ご免なさい!」


「え?」


「その、…北条先生のこと、黙ってて。」


「…まあね。
確かに倒れるんじゃないかってぐらいわけ分からなかったわね。」


だよね…


「でも、言わないで正解だったかもね。」


「え?」


「じゃないとあたし、妃奈に学校辞めろとか言ったかもしれないから。」


「お姉ちゃん…」


「大丈夫。
そんな事言わないから。
でも、」





「あの馬鹿野郎が何か変な事したら言いなさい?
あたしがあの学校から追い出してあげる。」


「う、うん。」


お姉ちゃんが言うと洒落にならないんだけど。


「あたしの話はそれだけ。
妃奈は?」


「あたしもこれだけ。」


あたしとお姉ちゃんは何か可笑しくて笑った。


空には夕月が浮かんでいた。


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