元カレ教師
長かったグランド7周も終わって、あたしが息をついたのも束の間、チャイムが鳴った。
昼休憩の後の英語の時間を思うと気が遠くなりそうだ。
あたしは鉛のような足を懸命に前に進めながら校舎に向かって歩き出す。
「滝沢さん。」
後ろからの声に振り向いた。
木下先生だった。
「ちょっといいかな?」
「はい。」
あたしは未来に先に帰ってもらい、木下先生の元に急いだ。
「先生!」
体育準備室に顔を出すと、木下先生は中に入るように指示を出した。
「この前の話なんだけど、」
声のトーンから、すぐに何の話か分かった。
「大丈夫です。
誰にも言ってません。」
「そうじゃないの。」
「え?」
「…ご免なさい!!」
「先生!?
急にどうしたんですか?」
「実はね…」