元カレ教師


その短い間に起こった事はとても衝撃的だった。


「全然気付かなかったです。」


まさか、最後の方だけとは言え北条先生に会話を聞かれてたなんて。


「でももう仕方ないじゃないですか!
北条先生だって、木下先生があたしのこと贔屓してるなんて思わないですよ。」


「違うの滝沢さん!」


感情が高ぶったような大きな声に、あたしは少なからず驚いた。


「…北条先生と滝沢さんのこと、知らなかったからって…あんな事してご免なさい。」





あたしは返す言葉を見つけられずにおろおろした。


北条先生は喋ったんだ。


あの時付き合っていたのは、木下先生と対面した女性ではなく、


あたしだという事。


やっとの思いで、あたしは次の言葉を繋いだ。


「いいんです。」


「滝沢さん…」


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