元カレ教師
…皮肉だよね。
みやびちゃんのお母さんが傍にいてほしいと頼んだ人が、みやびちゃんを傷つけたって。
あたしは何も言えずにみやびちゃんを見つめた。
やはり言うべきだったのだろうか?
みやびちゃんが北条先生のこと好きって分かった時点で。
すべきだったのは中途半端な応援ではなくて、真実の告白だったの?
あたしは苦しくなった。
病室の灯りで照らされたみやびちゃんが死んでいるように見えた。
「あの、みやびちゃんのお母さん。」
みやびちゃんのお母さんはいきなり響いた音の方に素早く向いた。
「もう、申し訳ないのですが、帰らせてもら、頂けないでしょうか?
時間も遅いですし。」
時計の短針は7と8の間にあった。
「もうこんな時間…
遅くまで引き留めてご免なさい。」
「いえ、そんな!
最後までいてられなくてご免なさい。
では、失礼します。」
あたしは1人の視線を感じながら病室を後にした。