元カレ教師
そんなまま、迎えた今日。
未来は何だかんだ言ってみやびちゃんを本気で心配している。
本当はみやびちゃんが目覚めるまで引っ越したくないが、転校先の学校との手続きなど、向こうでやらないといけない事が多いらしく、その願いは叶わなかった。
阿紗子も、目を覚ましたみやびちゃんに3人で会いたいと話していた。
阿紗子自身はみやびちゃんをあまり知らないが、あたしや未来の話を聞いて、仲良くなりたいと思ったらしい。
だが、それもこれもみやびちゃんが目を覚まさない事には始まらない。
結局、未来の見送りの方が先になった。
「いってきます。」
自分でも分かる程力無い声でそう言った。
「妃奈!」
お姉ちゃんの声に振り返る。
「玲奈が、また会いたいって、妃奈とあたしと未来ちゃんの3人で会いたいって言ってたって。」
「お姉ちゃん…」
「そう言っといて。
あと、見送り、行けなくてご免ねって。」
「分かった。」
「気をつけて。
いってらっしゃい」
「いってきます。」
先程よりは少し大きな声で言って、あたしは家を出た。