元カレ教師
「でも最後に、伝えられて良かったです。」
「俺も1つ聞いていいか?」
「何ですか?」
「伝えたかったのは、好きだったって事?」
「いえ。」
あたしはハッキリとそう言った。
「この恋を終わりにするって事。」
「なるほどな。」
「それだけです。
…さようなら。」
あたしは鞄を手にし、彼を見た。
これで最後だと思った。
彼の目も、彼の髪も、口元も鼻筋も、首も
あたしは彼の見れる範囲の全てを見た。
「さようなら。」
あたしが聞いた、彼の最後だった。
ただ、今までに聞いた事のない程、優しい“さようなら”だった。
あたしは彼に背を向けた。
後悔は、今はしてない。
あたしはそう確信した。