先輩★内緒の片思い
昼食後、シートに戻ると、南君が自分のバッグから何かを取り出した。
「あ、おまえ、本当に持ってきたのかよ」
武内が突っ込む声につられて見ると、南君が持っていたのはバレーボールだった。
「南君、それマイボール?」
学校で使っているのと違って、南君の取り出したボールは新品同様に見えた。
「うん、家でボールの感覚養うためにできるだけこれに触るようにしてるんだ」
「へえ、いいなあ、私もマイボール欲しいなあ」
私がうらやましがると、武内が突っ込んできた。
「買えばいいじゃん」
私は唇を尖らせた。
「そりゃそうだけど。
ボールって結構高いんだよ。
お小遣い1ヶ月分じゃ足りないくらいするんだもん。
欲しいけど、簡単には買えないよー」
「ま、たしかにな。
部活やってるとバイトもできないしな」
でしょ?と武内に同意を求めていると、南君が岸谷先輩の横に移動して頭を下げた。