先輩★内緒の片思い
5.砂浜で対人
「お願いします!」
南君の礼で対人は始まった。
足元が砂だと、かなり動きづらいだろうなあ。
最初は軽くオーバーハンドパスのラリーから。
砂に足を取られた南君のパスが短くなっても、岸谷先輩は危なげなくレシーブで返した。
最初はややたどたどしかった二人の動きが、だんだん安定してきたなあと思っていると、南君が大きくトスを上げた。
岸谷先輩が軽くスパイクを打つ。
正確に南君の手元に打たれたボールは、きれいな弧を描いてまた岸谷先輩の頭上へ。
岸谷先輩は続けてさきほどよりやや強く打った。
今度は、南君の少し前方。
南君は基本通りの動きでボールの下に入り、きれいにレシーブした。
ただ踏み込んだ足が砂で滑り、ボールの勢いを殺しきれずに大きく返ってしまった。