先輩★内緒の片思い
1本目は岸谷先輩の正面に入り、きれいに返ってきた。


そのまま、2本目を打つ。


さっきより強く。


やや左に逸れたけれど、岸谷先輩は危なげなく返してきた。


3本目も連続で、更に強く。


今度はやや右にずれ、岸谷先輩のレシーブも少し遅れ、高く速いボールが返ってきた。


私の頭上を越えそうなボールにジャンプして飛びついた。


かろうじて右手が届いた。


岸谷先輩のところまでは届かず、フェイント気味のボールになる。


岸谷先輩はそれを見越して、前に出てきていた。


ゆっくりと高いボールを返してくれる。


私が体勢を整える時間を稼ぐためだ。


私もゆっくりとパスを返した。


岸谷先輩もさっきまでいた場所に下がりながら、パスを返してくる。


私がパスを再び返すと、「河野、トスして来い」と声がかかった。


「はい!」


私は言われたとおりにトスし、構えた。


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