先輩★内緒の片思い
「大丈夫か?」


すごく優しい声で聞かれ、私は頷いた。


「ここにはいないようだ。
次に行こう」


「……はい」




先輩は自分の傘を拾い、私の手をつかんで車まで引っ張って行ってくれた。


私を助手席に乗せ、岸谷先輩も運転席に乗りこんだとき、私のケータイが鳴った。


母かと思ったけれど、真菜香だった。




「もしもし」


《あ、優希?
もう、家についた?
兄貴がまだ帰らないんだけど、まだ優希を送り届けてないのか心配になって》


「あっ、ごめんね」


私は真菜香に事情を説明した。


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